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【幻想】海外に居る日本人同士は仲良しなのか?

海外に進出展開している日系企業(日本人)同士は、たとえ競合他社や同業者であっても、助け合いの精神や結束が強い

このようなことを、中国へ来る前に何度か耳にしました。

異国の地で孤独な戦いをする中、同じ日本人同士なら自然と助け合い、お互いに協力できるような関係になる

確かに、そのような「和を尊ぶ」という側面もゼロではありません。しかし、実際に海外でビジネスの現場に身を置いてみると、事情は少し違うことに気付きます。

本記事では、海外における日系企業・日本人同士のリアルな距離感について、少し踏み込んでお話いたします。

なぜ「海外=日本人同士が助け合う」という幻想があるのか?

そもそも、なぜ日本人たちは「海外に行けば日本人同士が助け合う」というイメージを抱きがちなのでしょうか。

その背景には、日本独特の村社会文化・共助意識があります。企業によっては、海外への渡航前のビジネス研修で「同じ日系関連の企業・機関、日本人を頼れ」のようなアドバイスがあったり、またメディアなどでは、海外で日本人が成功する美談を取り上げられることも多く、自然と期待値が高まってしまうのです。

特に初めての海外駐在やビジネスとなると、不安も大きいため、「同じ日本人なら、きっと分かり合えるだろう」という希望を持ってしまうのは、ある意味当然なのかもしれません。

しかし実際の海外現場ではどうか?

しかし現実は「そんなに甘くない」というシンプルな答えです。

特にビジネスの世界では、同業者であればあるほど競争相手になります。「たとえ表向きは笑顔でも、裏では市場を取り合っている」そんな関係が普通で、日本に居るときとさほど変わりは無いでしょう。

また、海外では企業も個人も「自分の身は自分で守る」という意識が強まります。リスクのある情報は簡単に共有しないし、簡単に手を差し伸べることもありません。もちろん、利害が一致する場合は協力関係が生まれることもありますが、それは「日本人だから」ではなく「ビジネス的な合理性」が理由があるからです。

在海外の日系企業同士の「静かなバチバチ」

在海外の日系企業の競合他社や同業者の間では、表面的には協力関係を築いているように見えても、実際には「静かなバチバチ」が繰り広げられていることは、珍しい話ではありません。特に競争が厳しいエリア(中国・東南アジア・北米西海岸の一部エリアなど)の日系企業ネットワーク内では、よく耳にする話です。

この「静かなバチバチ」とは、お互いに直接的な対立は避けつつも、競争心が心の中で燃え続けている状態を指します。表面的には和やかな関係を保ちながらも、実は内心で競争心が根強く存在し、時にそれが業務の進め方や意思決定に影響を与えることがあります。

特に海外では、日系企業(日本人)同士のコミュニティが狭いため、お互いに表面的・直接的な対立は避ける傾向が高いです。

競争と協力の微妙なバランス

日系企業同士の「静かなバチバチ」は、競争と協力のバランスが絶妙であることが多いです。

例えば、同じ市場に進出している日系企業が、製品やサービスの特性が似ている場合、表面上は共通の問題に対して協力的に取り組んでいるかのように見えることがあります。しかし、内心では相手の成長をライバルとして見ている場合も多く、商談の際には互いに一歩先を行こうとする意識が強く働きます。

同じ業界で複数の日系企業が現地で市場シェアを争っている場合、表面的には「お互いの成功を祈る」という姿勢を見せつつも、商談の背後では他社に先を越されないようにとギリギリのラインで動いています。

特に、商談や提案書を出す段階では、相手に先に提案されないようにする競争心がむき出しになることもあります。

競争心が引き起こす摩擦

日系企業同士であっても、競争心が原因で摩擦が生じることは日常茶飯事です。特に、複数の企業が同じ市場に進出している場合、競争の激化によって「相手に情報を与えることを避ける・協力しない」といった心理的な距離を置くこともよくあります。

例えば、とある日系企業が新しい製品やサービスを市場に投入する際、他の日系企業との情報共有を避けたり、相手企業の動向を意識しすぎて、不必要にリスクを避ける動きが見られることがあります。

これが、表面的には「協力している」と見える関係でも、実際には無意識のうちに競争が激化している状況を作り出します。

日系企業同士の意識の違い

これも当然ですが、日系企業同士とはいえ、それぞれ別々の企業なので、互いの企業文化や経営方針の違いが影響を与えることがあります。たとえ協力関係にあったとしても、業務の進め方やコミュニケーションスタイルに違いがある場合、その意識の差が協力を難しくすることもあります。

また、在海外の日系企業であっても、長期的な視点でビジネスを進めることを重視する企業や、スピード感を持って短期的な結果を求めてくる企業など、経営方針のスタンスも様々なため、最適な解決策を見出すのに時間が要することもあります。

このギャップは、最初は円滑に見える協力関係でも、時間が経つにつれて問題が表面化し、協力関係が崩れてしまう原因になります。

しかし「静かなバチバチ」にはメリットもある

結果として生まれる「業界全体のエコシステム」

このような静かなバチバチは、実際には業界全体を活性化させる側面もあります。

競争の中で、企業同士が「差別化」を意識し、技術やサービスの向上を図ることは、最終的に消費者や市場全体に良い影響を与えることが多いです。競争があることで、企業は常に革新を追い求め、効率的な方法を模索し、市場のニーズに応えようとするため、結果として業界全体が成長していくことに繋がります。

日系企業が新しい技術を導入して競争優位性を得た場合、他の企業もその技術に注目し、自社の技術をアップデートしようとするため、業界全体の技術水準が向上することがあります。このような「イノベーション促進」が業界全体に広がれば、全体的な競争力が高まり、市場が成熟するという好循環が生まれることもあります。

それでも上手く付き合っていくためには?

在海外の日系企業(日本人)は、表向きは丁寧であっても、実際には「自分の会社を守る・勝たせる」ことが最優先になりやすいのです。つまり、これは個人の性格が悪いとかではなく、「海外ビジネスにおける生存本能」です。

〇 日系企業向けだけに取引・営業している場合、日本国内と違って市場が小さく、競争も激しい
〇 海外では「待っていたら負ける」という感覚が強い
〇 そもそも企業も個人も「勝ち抜く・生き残るため」に活動している

だからと言って「誰も信じるな」という話ではありません。大切なのは過度な期待を持たず、冷静に距離感を測ることです。

このスタンスを持つだけで、海外での人間関係(主に日本人同士)のストレスはかなり減ります。そして、本当に信頼できる相手とだけ、少しずつ関係を深めていけば良いのです。

〇 同じ日本人だからといって、無条件に仲間だと思わない
〇 まずはビジネスパートナーとして、対等な立場で接する
〇 情報は慎重に扱い、自分で主体的に動く

まとめ

海外に出たからといって、日本人同士が特別に仲良くなるわけではありません。

日本人だからではなく、双方にメリットがあるから協力する

そんなドライな現実を受け入れることが、海外ビジネスの第一歩です。

期待よりも現実を

冷静な目で人間関係を見極めることが、海外市場で勝ち抜く力になります。

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